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生体認証について

※この記事は、2017年5月に電波新聞ハイテクノロジーに掲載された記事を再編集したものです。

日本の生体認証市場

スマートフォンに指紋センサーや虹彩センサーが搭載されたことによって、一気に市場と認知度が拡大した生体認証。 データ調査会社の市場予測データによると、2014年に全世界で100億ドルだった市場が2021年までに3倍の300億ドルを超える市場にまで成長すると予想されています。
昨今、日本国内においてスマートフォン以外で生体認証市場成長の牽引役となったのが、2016年に始まったマイナンバー制度です。 前年の2015年11月に総務省の自治体情報セキュリティ対策検討チームによって、マイナンバーを取り扱う業務端末に対して、外部ネットワークからの切り離しや二要素認証の導入を義務付けた。 その二要素認証の構成要素として生体認証の導入が推奨されたこともあって、全国の自治体での生体認証システムの導入が急速に進みました。
今後、同じような情報保護強化の流れが金融業界、教育業界、医療業界などに波及することが予想されており、年平均成長率12%~15%の伸びが予想されている生体認証の市場がさらに急成長することが期待されています。

海外の生体認証市場

安全が当たり前の日本とは異なり、海外では高いセキュリティ性や確実な本人確認が求められるケースが多く、セキュリティ用途に生体認証を活用する動きが日本よりも進んでいて、導入の動きも活発です。
今後成長が特に期待されているのは新興国で、アジア、中東、南アメリカ諸国の伸び率が世界平均を大きく上回っています。
日本では金融業界や情報セキュリティ分野での導入が進んでいますが、海外ではインフラ周りでの導入も多く、国民番号と生体認証情報との連携、投票者登録、国家試験の替え玉防止などの新しい試みが世界各地で行われています。

生体認証の種類と比較

・指紋認証

生体認証としてもっとも古い歴史を誇る指紋認証は、機器が小型かつ安価の上に対応ソリューションが豊富で導入しやすいという大きな利点があります。 また、指紋は痕跡が残るため、犯罪捜査には有用で、入国審査に用いられる犯罪者のデータベース化など役立つ場面が多くあります。
ただ、その反面、利用者の指紋採取に対する心理的抵抗が大きかったり、偽造・悪用される危険性も比較的高くなっています。 また、生まれつき指紋が薄い、または職業や生活習慣上の理由で指紋が薄くなったために、自身の指紋を生体認証に使えない人も全体の数パーセントに上り、この点でもセキュリティ上の抜け穴となり得ます。

・顔認証

顔認証はノートPCに内蔵されているような安価のカメラで使用できるものもあり、小学校の生徒向けなど、教育現場などで使用されている例があります。 常時監視に利用できたり、性別や年代などの統計を取るのに適しているという利点があるものの、精度が他の生体認証に比べて劣り、偽造やなりすましが容易であるため、高いセキュリティ性を求められる場面では使われていません。

・虹彩認証

虹彩認証は、瞳内の皺のパターンを使って個々人を識別します。 前出の2つの生体認証に比べて、精度の高さや経年変化が少ないという利点を持っているため、入国審査に採用している国もあります。 ただし、データや機器のサイズが大きくなる、導入コストが高い、などの理由で利用される場面が限定されています。

・音声(声紋)認証

音声認証は、ノートPCに内蔵されているマイクなどで実行することができるため、導入コストを低く抑えることができるものの、健康状態によって認識率が左右されるなど精度に問題がある、雑音の多い場所や公共の場所では使用しづらい、などの理由で利用される場面が限定されています。

静脈認証

前記のように様々な生体認証があり、それぞれに適した用途がありますが、各認証方式に存在する欠点を補った、もっとも適用範囲の広い認証方式が静脈認証です。
もっとも認証精度が高い生体認証というだけでなく、静脈認証のみ不可視であり痕跡の一切残らない体内の情報を用いている上に、血流のある生きた生体でないと認証ができないため、偽造や成りすましが極めて難しく、高いセキュリティ性を要する場面にもっとも適しています。
もちろん、セキュリティ性だけでなく、人体の経年変化による影響が殆どない点や、高速処理、機器のサイズ、価格などを高いレベルで兼ね備えている点を考慮すると、もっともバランスの取れた生体認証であると言えるでしょう。

静脈認証の利用例

静脈認証の利用例として代表的なのは、国内の都市銀行や一部地方銀行の現金自動預け払い機 (ATM) で使われている事例ですが、もっとも利用例が多いのは、前述のマイナンバー対策需要もあって、端末のログオン、シングルサインオンといったITセキュリティ用途でパスワードの代わりに使われているケースです。
その他、企業や店舗の勤怠管理、ドアやゲートなどの入退管理、キャビネットや薬品庫、金庫などの収納庫といった、鍵やICカードの代わりに使われているケースでも利用例が多く見られます。
新興国での新しい試みとしては、銀行の口座保有者が静脈認証だけでカードレスでATMを利用可能にしている事例、すべての病院と薬局で静脈認証を行い、本人確認を行ってから診察や薬の処方を行う事例などがあります。

モフィリアの静脈認証

静脈認証には、主に指、手の平、手の甲を使ったものがありますが、その殆どが日本企業によって研究・開発されたもので、静脈認証技術に限っては数社の日本企業によってほぼ独占されていると言っても過言ではありません。
その中の一社であるモフィリアは元々ソニー株式会社で開発された、指を使った静脈認証技術を継承して2010年に独立し、以来その技術を全世界に向けて提供しています。
指を使った静脈認証は他の方式に比べて、データサイズが小さい、処理速度が速い、消費電力が少ないなどの利点があります。
それ以外にも、幅広いプラットフォームに対応したソフトウェア開発キット、世界初のBluetooth接続によるワイヤレス(無線)での静脈認証を実現した機器、防水防塵加工・抗菌加工などのカスタマイズに対応など、他社にはない小回りの良さが同社の大きな特長と言えます。


本記事の著者

山田 知宏
株式会社モフィリア
シニアセールスマネージャー
マーケティング担当部長
2017年09月01日
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